中二の通学路とクリーニングのおねえさんについて

中2のナカノ少年の通学ルートは、それまで通っていた、家から学校までの最短の道ではなかった。

敢えて少し遠回りして、ある土手の下の道を通った。

 

なぜなら、上手くいけば、めっちゃスカート短い不良の先輩が、チャリで土手の上を通るのを見上げることが出来るからである。

綺麗なふとももが、艶めかしく反復する。風で染めてる髪が舞う。めちゃくちゃラッキーな日は、スカートの中の布地成分を垣間見ることが出来た。

 

それは晴天に現れる流れ星のようだった。

 

どう考えてもアホだ。

毎日見れるわけじゃない(ヤンキーだから、登校時間は不定期だ)し、見れたとしても、一瞬だ。スカート短い不良の先輩、思い出補正で北川景子みたいな感じになってるけど、中学三年生だし、鳥取だし、全然そんなことないんだろう。そんな事のために、わざわざ遠回りしていた。

けれど、当時の僕には北川景子だったし、見れた日はガッツポーズするほど嬉しかった。

今思うと、自分の欲望に素直になり、計画し、行動し、成功する、ということ自体にも興奮していたのだと思う。

 

こんなに純粋で強烈なモチベーションが、恋しい。

 

中学三年生になるともちろん先輩はいなくなり、土手の下を通っても良いことはなくなったので、最短の距離で通うことにした。

 

通学が変わっただけでなく、スカート短い不良の先輩(不特定多数)が校内に一人もいなくなったことで、心の中の醜い俺の触手が拠り所を失って触手をウロウロさせているような、そんな自分をなだめるような、やるせない気持ちだった。

 

 

 

このブログを、昨日いつものクリーニング屋さんの店頭に立ってた元ヤン風のお姉さん(30代半ば)に捧げます。

スーツの上下を出したんですが、俺をちらっと見るなり、自然な流れでポケットに手を突っ込み、入れっぱなしになっていたハンカチを取り出し、もう一度、今度は少し上目遣いで俺を見て

「…出てきた♡」と仰いました。

 

爆発するかと思いました。